経営の「数字の不安」を減らす、3つの表
「売上はあるのに、なぜか不安が消えない」
「忙しいのに、資金繰りがいつもギリギリ」
「税理士さんの説明は聞いた…気がする。でも翌週には忘れてる」
中小企業の社長から、よく聞く声です。
原因はシンプルで、
“いま何が起きていて、期末にどう着地しそうか”を、自分の目で見える形にできていないことが多いんです。
そこで今日は、経営するなら最低限これだけは持っておきたい「3つの表」を紹介します。
この3つが揃うと、数字にもとづいた見通しが立ち、早めの対処ができ経営課題を見つける土台になります。
経営の3種の神器
1.月次収支表(実績)+着地予定表(見込み)
2.案件別(商品・サービス別)収支表
3.資金繰り予定表(半年先の現預金)
順番に、なぜ必要か・どう使うかを解説します。
①月次収支表+着地予定表:毎月「体重計」に乗る
月次の試算表は、多くの会社で税理士さんが作ってくれます。
ただ、試算表を見て「ふむふむ」で終わると、経営は変わりません。
大事なのは、試算表(実績)をもとに
「今期、最終的にどう着地しそうか」 を毎月更新することです。
イメージは、毎月同じ日に体重計に乗って、異変がないかを見る作業。
体重が増えていたら原因を探し、対策する。経営も同じです。
最初の作り方(ざっくりでOK)
期首〜当月までの試算表をExcelで、
横軸:月
縦軸:費目
の形に転記します。
期末までの空欄の月には、ひとまず前年同月の実績を仮で入れておく。
これだけで、「期末の着地」が見えるようになります。
毎月、実績が出たら差し替える。
すると、常に着地が更新されます。
次のステップとして、
月ごとの目標を置いて「目標との差」を見るのも良いですが、
まず第一歩は “着地を常に意識すること” です。
ズレているなら、原因を探し、打ち手を考える。
すべてはここから始まります。
②案件別(商品・サービス別)収支表:毎日の「カロリー計算」
月次の数字は、日々の売上・原価・経費の積み上げです。
だから「月次だけ見ていると、原因がぼやける」ことが起きます。
月次が体重計なら、案件別(商品別)は日々のカロリー計算です。
「どの仕事(商品)が儲かって、どれが儲かっていないのか」を見える化します。
小売・サービス業なら
・何がどれだけ売れたか
・1個あたりの売上・原価・粗利
製造業・建設業なら
・見積時点の売上見込み/原価見込み(計画)
・実績の売上/原価(実績)
特に建設業・製造業は、見積時点で外注・材料・労務費などをはじいているはずです。
だからこそ、**「見積(計画)と実績が並ぶ表」**が強力です。
これがあると、
・儲かる案件/儲からない案件が明確になる
・次の打ち手(価格、外注の使い方、段取り、原価管理)が見える
・案件の積み上げで「今後の売上・利益の予測精度」が上がる
結果として、①の月次収支の「着地見込み」も、どんどん正確になります。
③ 資金繰り予定表:会社を潰さないための最重要表
最後は、会社を潰さないための表。
資金繰り予定表です。
黒字・赤字だけでは見えない「現預金の未来」を見ます。
最低でも、半年先の現預金の残高を予測しておく。
これがあるだけで、「急に資金繰りに窮する」ことが激減します。
案件別管理ができるようになると、受注した段階で、
・いつ入金があるか
・いつ何の支払いが出るか
がある程度読めます。
これを集計して、資金繰り表に落とします。
特に要注意なのが、
支払いが先で、入金が後になる事業(建設業など)です。
資金繰り表がないと、黒字でも資金ショート(いわゆる黒字倒産)になり得ます。
また、成長フェーズの会社ほど、
・仕入れ・外注・人件費などの先行支払いが増える
・忙しいのに資金繰りが苦しい
になりがちです。
金融機関と上手に付き合う上でも、資金繰り予定表は強力な武器になります。
「いつ、いくら足りそうか」を先に示せる会社は、相談の質が変わります。
まずは「3つ作る」がスタート

この3つは、どれも最初から完璧である必要はありません。
最初はざっくりでOK。
大事なのは毎月更新して、精度を上げていくことです。
①で着地を意識する
②で儲けの源泉をつかむ
③で資金ショートを防ぐ
この3点セットが揃うと、数字をもとに「見通し」と「打ち手」が語れるようになります。
補足:高いソフトは不要。まずはExcelで十分です
ここまで読んで、「うちには高度な経理ソフトがないから無理かも…」と思った方もいるかもしれません。
でも大丈夫です。
複雑な経理ソフトは必要ありません。
初歩的なExcelで十分に作れます。
むしろ最初は、
・手で入力して
・毎月更新して
・数字の変化を見て会話する
このサイクルが回ることのほうが大切です。
そして慣れてくると、この3つの表は連動させられます。
たとえば、案件ごとのデータ(売上見込み・原価見込み・入金予定・支払予定)を入力すると、
・月次の収支(着地見込み)
・資金繰り予定表(半年先の現預金)
に自動で反映される形にもできます。
つまり、最初は「ざっくり手作業」でも、続けるほど精度が上がり、
最終的には**“入力は1回、見通しは全体に反映”**という状態に近づけられるわけです。
まずはExcelで、3種の神器を形にしてみましょう。
それぞれの詳しい作り方は、次回以降、1本ずつコラムで掘り下げます。